アラスカ州の先住民

アラスカ州が世界に知られるようになってから それほど月日が経っていないものの、先住民は数千年前から ここに住んでいます。 ベーリング陸橋は数万年前にアラスカとシベリアの間に 存在した陸地と信じられ、人間はここを渡って 北米に定住したと考えられています。 人間は北米大陸全体に 移動しましたが、多くの人々はアラスカに残ったため、 今日まで多様な先住民文化が存在します。

アラスカ州の先住民には多様な文化や 生活様式がありますが、どの先住民も極端な気候を受け入れ、 漁業、捕鯨、狩猟、採集を中心としたライフスタイル をもっていました。 以下はアラスカ州の先住民を 簡単にご紹介するものです。

アラスカ州の先住民

アラスカ州の先住民は一般的に アサバスカ、イヤック、トリンギット、ツィムシアン、エスキモー、アレウトという幾つかの部族に分類されます 時折、「エスキモー」という語は全てのアラスカ先住民を指すために使用されますが、これは誤りです。

アサバスカは昔からアラスカ内陸に 住んでいた部族です。 この部族にはアトナ、タナクロス、下タナナなど 多くの小部族が含まれています。 アサバスカ族は 内陸の小川での漁業、狩猟、採集で生計を立てていました。 クック入江に住んでいたデナイナ族も沿岸漁業を生業として いました。 アサバスカ族は生まれた子供が母親の一族に属するという 母系社会が特徴です。 インガリック族とホリカチャック族は ユピクの影響を受けたため、 この例外です。

イヤックはアラスカの南部沿岸のコルドバ市 近辺に住んでいる小部族です。 歴史的に漁夫として知られたこの部族は ロシア人の探検家との交易を始め、キリスト教宣教師の伝道を受けるなど、 最初に西洋人と接触を持ったアラスカ先住民の1つです。 イヤック族の領地は、戦争や近隣部族との結婚などでこの数百年間に 縮小しました。またアラスカ購入により、アメリカ人が当地に移住し 缶詰工場を開始すると、サケ漁の競争がし烈になり さらに困窮に陥りました。 近隣部族との結婚や疾病により純血のイヤック人口が減少し、 最後のイヤック語のネイティブスピーカー、マリー・スミス・ジョーンズは 2008年に亡くなりました。 イヤック族はシャーマニズム信仰で知られ、 病気の治癒、将来の予言、悪霊の追放にドラムや塗装された 木製の人形を使用しました。

トリンギットはアメリカの先住民で アラスカ・パンハンドルに居住し、カナダのブリティッシュコロンビアや ユーコン準州にも小集団が住んでいます。 トリンギット族は1741年に ロシア人の探検家と最初に接触し、ロシア正教やロシア語など 多くのロシア慣習を採用し、現在もなおそれが継続されています。 他の アラスカ先住民族のように、トリンギット族は外国人によってもたらされた 感染病にかかり、免疫がなかったために大打撃を受けました。 アサバスカ族のように、 彼らの家族構成は母系社会です。 トリンギット族の文化は 食物を重要視し、「ビーチフード」のみをを常食とする者は蔑視され、 生活のために内陸に旅するか、海へ出て漁をすることを期待 されました。 トリンギット族はきめ細やかなロングハウス、 集落、精霊信仰で知られています。多くの者がアメリカへの同化に 抵抗するために、ロシア正教に改宗しました。

ツィムシアン族はアラスカ州南東部とブリティッシュコロンビアに 居住するアラスカ部族です。 この部族は 1787年に、北米の西海岸を地図化し、北西航路を発見することを 任務とするイギリス人の探検家と初めて接触しました。 ツィムシアン族は、1800年代に経済的な機会を求めてアラスカに移住した外国人に よりもたらされた疾病で大きな被害を被りました。 ツィムシアン族 の文化はサケ漁を中心とし、その家族構成は母系社会 でした。 彼らはポトラッチと呼ばれる儀式や、 太平洋岸北西部やアラスカ・ パンハンドル 地域に良く見られるベイスギの木細工でも 有名です。

エスキモーは、歴史的に北米やアジアの北極地方に 居住する部族グループです。 アラスカ州の主なエスキモー 部族には、ノーススロープ郡のイヌピアト族やアラスカ南西部のユピク族 が含まれます。 伝統的にエスキモーは、沿岸地域という場所と厳しい気候が 農業を不可能にするため、主に漁業と捕鯨を生業として きました。 冬の間にはイグルーに住むことでも 知られています。

アレウト族はアラスカ南東部とシベリア極東部の アリューシャン列島に居住しています。 彼らはロシア人の探検家が最初に 接触した先住民の1つで、多くの者がロシア正教に改宗し、 かなりの数のアレウト族はロシア人を先祖と します。 アレウト族は最初、ロシア人の商人に毛皮を売っていましたが、 両者間の緊張が1784年の暴動に至りました。 アレウト族は北米の太平洋岸 全域における貿易で有名になり、 後にメキシコ北西部の サンニコラス島に住むニコレノ族に対して大虐殺 を行いました。 第二次世界大戦中、日本人が アラスカ南西部の島々を占領し、アレウト族の人々を捕虜収容所に送りました。 後に米国はアラスカ・パンハンドルの収容所にアレウト族を避難させましたが、 その多くが疾病で亡くなりました。 伝統的にアレウト族の生活は 狩猟、漁業を中心とし、アラスカの厳しい冬を乗り越えるために、 「バラバラ」と呼ばれる複雑な家屋を地下に建設しました。 アレウト族は独自の 衣服、入れ墨、ピアス、武器、漁船を含む緻密なアート でも良く知られています。

結論

アラスカ先住民の生活は、一つの記事では書ききれない独自で多様な側面が存在します。 アラスカ先住民の文化は、場所や状況にも関わらず人間が自分の環境に簡単に適応できることを示す興味深い例です。 疾病や植民地化にも関わらず、アラスカ先住民は今日まで自身の伝統に敬意を払っています。アラスカを訪問する人は彼らの独自の習俗にふれる機会に恵まれることでしょう。